注目のだじゃらーVol.9 山元建具店 山元克司さん
- お名前:山元 克司(やまもと かつし)
- 生年月日:昭和43年1月27日
- 出身地:滋賀県湖南市
- 職業:建具職人
- 趣味:スポーツ観戦、馬好き
- 私にとってのだじゃれ:組子(くみこ)
「今月のだじゃらー」第9回ゲストは、“かつしちーさん”こと山元克司さん。滋賀県湖南市にお住いのかつしちーさんとは以前からのだじゃれ仲間で、1/30(土)に開催したダジャーレdeござ~る!にご参加いただいたのに便乗してインタビューにご協力いただきました。建具職人でありながら、2014年D1だじゃれグランプリ滋賀大会の銀メダイストの実力者でもあるかつしちーさんとのだじゃれ談義。これは読むしがないですよ!
Q :
普段はどんなお仕事をされているのですか?
A :
建具職人です。オーダーメイドで障子やドアを木で作る職人です。「木」を使う仕事ですね。
Q :
結構、気も遣うんですか?
A :
そうですね(笑)特に杉を使う時は、気を遣い過ぎになります(笑)
祖父が起業して80年、私で3代目になります。
Q :
かつしちーさんとだじゃれの接点はどこにあったのでしょう?
A :
子どもですね。当時小6だった長男がたまたま友達に誘われて、【D1だじゃれグランプリ】(注1)の第1回・滋賀大会に出場することになって、いきなり金メダイを取ってしまったんです。その時は客席で観戦していて、「ふ~ん、こんな大会があるんだ」と思ったくらいでした。 そしたら、滋賀大会で優勝したことで、「今度、東京オープンがあるので出場しませんか?」と子どもにお誘いがかかり、東京まで保護者として付いていくことになったんです。
注1)【D1だじゃれグランプリ】
絵本作家・シンガーソングライターの中川ひろたかさんが考案した、だじゃれ好きのだじゃれ好きによるだじゃれ好きのためのだじゃれ選手権。勝ち抜きトーナメント形式で、出場者は出されたお題に対し、30秒間でフリップへだじゃれを記入。順番に読み上げて審判の判定で勝者を競う過酷な大会。優勝者には金メダルならぬ金メダイが贈呈される。2014年には全国大会も行われたが、現在は、滋賀大会(湖南市)のみで継続されていて、市内の各小学校で校内予選を勝ち上がった小学生(3人一組)がその技を競い合っている。
D1だじゃれグランプリin湖南市 2015 オフィシャルサイト
Q :
お子さんの東京オープンでの戦績はどうだったのですか?
A :
2回戦で九州の子どもに負けてしまいましたが、1回戦で結構D1界の有名な方に勝って、良い思い出になりました。滋賀大会での優勝をきっかけにテレビやラジオからも取材されたりして、普通では経験できない面白い体験ができました。
ダジャーレdeござ~る!後の会場にて笑顔の絶えないインタビューでした!
Q :
かつしちーさんご自身はどうやって、だじゃれの世界に足を踏み入れたんですか?
A :
子どもが出場した東京オープンの懇親会に出席して、だじゃれが飛び交う場に参加させてもらってとても楽しかったのが最初のきっかけです。 その後、子どもが【D1.com】(注2)に投稿しようとしたんですが、子どもにはなかなか難しかったようで、「ほな、お父さんが書いて送ったろうか?」というノリで「かつしちー」という名前で投稿したのがだじゃれ界に飛び込んだ第一歩でした。 デビュー戦のお題が「国立公園」だったのですが、五木ひろしさんの『よこはま・たそがれ』を文字って「あの~人は、伊勢伊勢志摩った~ (原曲:行って行ってしまった)と投稿したら、いきなり優勝してしまって・・・D1.com初のデビューウィンになってしまったんです。それで引っ込みがつかなくなって、毎月投稿するようになってそこからハマっていった感じです(笑)注2)【D1.com】
D1だじゃれグランプリの主催者である中川ひろたかさんが始めただじゃれ投稿サイト。月に一回、提示されたお題に対して投稿されただじゃれに会員が投票。獲得したポイントによって決定される番付を競うネット上のだじゃれ大会。現在、同サイトは既にクローズされている。
Q :
D1グランプリ出場のきっかけは?
A :
どちらかと言うと、瞬発力よりもじっくり考える方が好きなタイプなので、D1グランプリに出るつもりはなかったんです。ところが、2014年の滋賀大会を観戦しに行って、会場枠で書いただじゃれがたまたま選ばれてしまって、トーナメントに参加。あれよあれよという間に銀メダイになってしまったんです(笑)
Q :
全て偶然なんですね。最近は子どもにもだじゃれを教えていらっしゃるとか?
A :
はい。銀メダイを取った翌年、地元の石部小学校で「誰か学校に教えに来てくれる人いーひんかな」という話が出て、「それなら近くに銀メダイストがいるじゃないか!」という話になって、昼休みに週1でだじゃれ教室を始めることになったんです。
Q :
具体的にはどんなことをされたんですか?
A :
校内で選抜されてD1グランプリに出場する子どもに対して、本番形式で特訓する感じです。子ども達が考えただじゃれに対して、「もっとこうした方がいいんちゃうか?」「こっちの方が旗あがるんちゃう?」といった感じでアドバイスしました。これが過去に書き上げたネタ帳です。子どもなので、学校の科目はネタとして出やすいかなと思って、例えば「理科」だったら「理科を学びに留学します。行き先は、パリかアメリカ、コスタリカ」といった感じです(笑)
かつちしーさん秘伝のネタ帳。五十音に整理されていて、まさにD1必勝のバイブル!!
Q :
これはスゴイ!!予備校の受験勉強対策みたい(笑)特訓の成果はありましたか?
A :
2回戦で負けてしまいましたが、みんな堂々とした、だじゃれっぷりでした(笑)
Q :
(インタビューの直前に)ダジャーレdeござ~るに参加いただきましたが、如何でしたか?
A :
何か自分の中でモヤモヤとしていたものが体系的に整理された感じがします。子ども達には「なんかこんな感じで出ーへんかな?」と感覚的に教えていましたが、だじゃれの作り方を分かりやすく人に伝えるツールを手に入れた感じがします。
Q :
仕事の中でもだじゃれを使うことはありますか?
A :
そんなに頻繁に使う方ではないですが、SNSを通じてD1グランプリのことは知っているので、お客さんや取引先の間では「だじゃれの人」と言われています。たまに、ポツっと言うと「あ、出た出た!」と言われたりします。本業の説明の中で一つ放り込むだけで、「待ってました!!」と盛り上がることもあります。
Q :
何か具体的に覚えている場面はありますか?
A :
施工例の写真を集めて写真集をつくるという研修をした時に、職人仲間を代表して、講師に「写真だけにフォトフォト困っています。今日は何とか解決してください」と挨拶をしました。そしたら、「出ました!」「初めて生で聞いた!」と仲間から喜んでもらえました(笑)最近は〆の挨拶として、「俺の建具は誰が見たってグー!」と言うのが定番になっていますね(笑)
Q :
だじゃれと出会ったことでどんな効果があると感じていますか?
A :
何か期待されている感があるのは嬉しいですね。「職人=怖い」というイメージがあると思いますが、「この人は大丈夫」と思ってもらえるので、コミュニケーションの入り口のところですごく助けられている感じがします。以前よりも周囲から声をかけてもらいやすくなったと思います。
Q :
お弟子さんとの関係性についてはどうですか?
A :
D1.comをやっていた時は、休憩時間などに「こんなお題で何かだじゃれ言えへんかな?教えてよ」と聞いていたことがありました。「いやー浮かばないですよ~」とは言われましたが、弟子にも教えてもらうという交流の仕方ができて、よいコミュニケーションのきっかけになっていたかなと思います。
Q :
最後に、ズバリかつしちーさんにとって「だじゃれ」とは?
A :
障子の「組子」 ですかね。組子は障子の部品の一つでサンにあたるものです。人と人とをがっちり結びつけるという意味で、だじゃれは組子と同じです。
こちらが「組子」。まさに職人のなせる技です!!
<あとがき>
今回のインタビューで分かったのは、かつしちーさんとだじゃれの出会いはまさに偶然の産物。D1グランプリが存在してなければ私との出会いもなかっただろうし、ダジャーレdeござ~る!がなければ、今回の滋賀遠征もこのインタビューも実現していなかったでしょう。そう考えると、かつしちーさんの「だじゃれは人と人をがっちり結びつける“組子”のようなもの」という言葉はとても核心をついているように思います。まさに我々の人生にしっかりと組み込まれただじゃれ。だじゃれの旅と出会いの輪はまだまだ広がりそうです!
インタビュー&レポート by 鈴木ひでちか
かつしちーさん(左)と懇親会の席で、満面の笑みでDポーズ!