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注目のだじゃらー

注目のだじゃらー Vol.34
役者・エンターテイナー 井上 順さん

井上 順

  • お名前:井上 順(いのうえ じゅん)
  • 出身地:東京都渋谷区
  • 職業:役者・エンターテイナー
  • 趣味:ゴルフ
  • 私にとってのだじゃれ:七五三(しちごさん…ではなく、なごみ

今回の「注目のだじゃらー」は役者でありエンターテイナーの井上順さん。夜のヒットスタジオでの軽快なだじゃれを覚えている人も多いと思います。最近では毎朝「グッモー✌」で始まるだじゃれを交えたツイートを行い、見る人に笑顔とほっこりと心温まる時間を届けていらっしゃいます。
順さんのだじゃれの原点は何なのか?そして多くの人を超魅了する順さんのだじゃれ調味料の隠し味はどこにあるのか?「いのうえ」だけに「あぁ!」と惹き込まれる順さんならではのハートフルなお話を伺いました。


だじゃれは予想していなかった新しい発見をくれるもの

Q(ひでちか) :

まず、順さんにとってのだじゃれの原点についてお聞かせください。

A(順さん) :

落語から始まったんじゃないかな。落語ってだじゃれみたいなオチも多くて。家族が笑っているのも見て自分も一緒に笑っていてね。
その中で決定的だったのが柳亭痴楽(りゅうていちらく)の「綴り方狂室(つづりかたきょうしつ)」。東京駅から始まって山手線の駅名がずーっとだじゃれで繋がっている落語だったんです。この落語を聞いて、あー面白いなと子ども心に感じたのがだじゃれのスタートかな。


▲Amazonで現在も販売されている柳亭痴楽の「綴り方狂室」。ジャケットからも面白さが伝わってくる。今は5代目まで襲名されているとのこと…しゅめ~(すげ~)。

Q(ひでちか) :

それからだじゃれを使うようになっていったのですね。

A(順さん) :

そうですね、自分のショーでもだじゃれを言ったりしますね。歌う曲によってだじゃれのメドレーが何種類かあります。
例えば、お酒の話だと「知らず知らずのうちに飲むお酒って決まっていきますよね、毎日飲むのがニッカ(日課)。飲み方もオンザロックと水割り、ストレートとサントリー(3通り)、うちのばあちゃんオールドパー」とか。
そういうだじゃれを一通り言って、最後は「このだじゃれ分かりましたか?え、アサヒ(私)サッポロ(さっぱり)分からない…。じゃあキリン(キリ)がないからやめましょう。」と
流れを考えながら使わせてもらっていますね。

Q(ひでちか) :

スゴい!流れるように出てきますね。他にもそういったストックはあるのですか?

A(順さん) :

その時の歌う曲によって他にも何パターンかあって、例えば『酒とバラの日々』という曲だと今のお酒のメドレーだったり。花の歌であれば花の名前のだじゃれメドレーがあったり…。
だから随分だじゃれには助けてもらったね。僕が考えただじゃれが全部通用するとは思ってないけど、でも、ゼロよりかは何らかの発信をしてプラスになった方がいいと思って。

Q(ひでちか) :

私もいつもだじゃれを言うのは「言う気(勇気)」が大事だと言ってます。
「だじゃれに助けてもらった」という話ですが、順さんにとってだじゃれってどんな存在ですか?

A(順さん) :

皆さんそうでしょうけど「今日はこういうだじゃれを言ってみようかな」なんて考えて会話ってスタートしてないと思うんですよ。一緒にいる人たちと同じ空気を吸ってる時に頭の引き出しから言葉がふっと湧いてくるようなイメージです。
そんな風にだじゃれは僕の中でも予想していなかった新しい発見をくれるものですね。

Q(ひでちか) :

だじゃれって会話の流れの中に自然と織り交ぜられるのも魅力の一つですよね。

A(順さん) :

これ不思議なんだけどね、だじゃれなんて全然言わなさそうなタイプの人が僕とずっと時間を共に過ごしていると、結構相手の方もポロっと(だじゃれが出てくる)。笑
そういう時は「キャッチボールができてるな」って嬉しさと温かみを感じますね。

Q(ひでちか) :

ありますよね。関西弁がうつっちゃう…みたいな。
順さんは相手のことを考えてだじゃれを言っているイメージがあります。Twitterでは「だじゃれは嫌いだけど、順さんのだじゃれは好き」なんて投稿も見かけました。

A(順さん) :

僕はよく分からないんだけど、さっきも通りがかりの女性の方に声を掛けられて、「毎日Twitterを見て和やかな気持ちにさせてもらってます」なんて言われて。
お役に立ってるなら嬉しいけど、この女性が言ってるように「756」が大事だな…なんて。

Q(ひでちか) :

756‥なんですか?

A(順さん) :

和む(756)」なんてね。笑
和みを生むためには相手の話をしっかり聞いて噛み砕くっていうのかな。
これが相手に対する誠意だし、大事な要素だと思いますよ。


▲取材中、順さんの温かい人柄に触れて和み(753)っぱなしでした


「楽しい」や「嬉しい」は日常にたくさん転がっている!

Q(ひでちか) :

本を拝見したり、twitterを見たりしていると順さんの人柄とだじゃれの相性がとても良いんじゃないかなと思うんですが、いかがですか?


▲順さん初エッセイ「グッモー!(2021.10 PARCO出版)」。面白いのかって…グッモーん(愚門)です。面白く、そして心がほっこりします。

A(順さん) :

どうなんだろうね…誰でもそうだと思うけど楽しいことを1日にいくつキャッチできるか、僕は毎日自分に対してノルマみたいに課しているんです。ですからプライベートでも仕事でも、まず自分が「あ、ラッキー」と思えることが嬉しくてね。

Q(ひでちか) :

凄く良いですね。日常のちょっとしたことを大事にされているんですね。

A(順さん) :

最初に感じるのは毎朝目が覚めたこと。これがやっぱり嬉しく感じるわけですよ。もういい歳だからぱっと目覚めた時に「今日もまた1日もらっちゃったな、やったね」って喜びから始まって。その後、パッと窓を開けると太陽がキラキラした明るさで全員を照らしてるっていうね。
凄いなって思うのは笑顔や太陽は無料なんですよ。僕らの周りには無料で幸せにさせてくれるものがいっぱいある。
だから僕のだじゃれでそんな風に思ってもらえたら嬉しいな。

Q(ひでちか) :

だじゃれもお金をかけずに幸せな気持ちにさせてくれますよね。
目が覚めたことが嬉しかったり、日常の小さなことを大事にされたり。そう思うようになったきっかけはありますか?

A(順さん) :

やっぱり歳を重ねてかな。鈴木さんもあと何十年かしたら目が覚めたことへの嬉しさを感じると思うのよ。

Q(ひでちか) :

そんな風になりたいです。日常の小さなことを嬉しいと思うコツってありますか?

A(順さん) :

楽しいことや嬉しいことっていっぱい転がってるんですよ。それを楽しいって自分で思うか思わないか…これが大事だと思うんです。綺麗なものがあっても綺麗と思わなかったら、何にも感じないわけでしょ。

Q(ひでちか) :

自分が何を綺麗と感じるか、何を楽しいと思うか知っておく必要もありそうですね。

A(順さん) :

うん、自分でこういう瞬間、こういう時、幸せだと感じるなというのは知っておいた方がいいね。
そしてそういう感性を作るのにもだじゃれは必要だなと思います。


ツイートする時、意識するのは映画やドラマの中で息抜きのようなシーン。

Q(ひでちか) :

Twitterを始められたのは、2020年ですかね。

A(順さん) :

そうだね、もう2年過ぎてますね。
よくもまあ~あのくだらないことをみんな我慢して見てくれてるなと思うけど。

▲順さんは「グッモー✌」の挨拶とだじゃれを交えたツイートを毎日行う

Q(ひでちか) :

Twitterを始めたきっかけは渋谷区の名誉区民となったことだとか?

A(順さん) :

そう、僕は渋谷生まれの渋谷育ちですから、色んな渋谷区の色んなイベントを時間がある時にお手伝いさせてもらってて。そしたらいつの間にか名誉区民という称号を頂戴しちゃって。
井上家には「他人様からいただいたらお返しする」という教えがあったので、何かしなきゃというので始めたのがTwitterですね。

Q(ひでちか) :

渋谷の魅力を紹介するのが目的だったのですね。

A(順さん) :

僕らの子供の頃の渋谷ってまだ田んぼがあったり、畑があったり。
今の人たちが感じてる渋谷の良さもあるけど、それとは別に僕らが育ったこんな渋谷もあるんですよって知ってもらおうと。
面白いのが、この目まぐるしく変わる時代で半世紀以上も残っているお店があるんですよ。
新しいものは受け入れていくけど、古くから頑張ってるお店も継続できるように紹介できたらなって思いでやってます。

▲2020年頃のツイート。順さんがだじゃれを言うだけでなく、Siriとだじゃれで会話するというSiriも知りえない活用方法も!?

Q(ひでちか) :

ツイートにだじゃれを交えるのも最初からだったのですか?

A(順さん) :

そうですね。ほとんど最初から使ってます。

Q(ひでちか) :

それは自然と出てきた感じですか?

A(順さん) :

例えば難しいことを言っても、つまんないと思うんです。だから渋谷のことを僕なりに紹介する中で、この言葉の中に遊べる部分があるなと感じたら一言だじゃれを入れたりして。それがちょっと癖になっちゃって。笑

Q(ひでちか) :

ツイートを考えたり、書いたりするのは時間が掛かるのですか?

A(順さん) :

掛かりますよ。
なんて言葉使ったらいいんだろう、そういえばこういう言葉最近使ってなかったな、なんて色々思い出したり…。その言葉を思い出して考えることやiPadで文字を入力することって脳や指先のトレーニングにも繋がっているし。
まだまだ思いついたことをいっぱい書けるっていうのが嬉しいですよね。

Q(ひでちか) :

「グッモー✌」の挨拶とともに朝投稿されてますが、前の日から考えているのでしょうか?

A(順さん) :

朝5時頃起きて全くまっさらな状態で、そこからですね。
前の日からやっておけばいいって思うかもわかんないけど、前の日は前の日でセリフも歌もふりも覚えなくちゃいけないですから。
そこから 7時とか8時までの時間が勝負ですよ。ところがこの間にミミちゃんメアリーちゃんに水上げたり、体を動かしたり…。
だからすごいタイトな時間なんですよ。その分、僕はね、いただいた24時間を十二分に利用させてもらってる感じですよ。

▲お話に出てきた順さんの家のゴムの木ミミメアリー(現在はメアリーのみ)。「壁に耳あり障子に目あり」が名前の由来。ゴムの木だけに、なんともなごむ話だ

Q(ひでちか) :

この日はどうしても思いつかない…みたいな日はないんですか?

A(順さん) :

これが面白いところなんだけど、なんか出てきちゃうんだよね。
お腹空いたな、おにぎり食べようと思ったらおにぎりの話を考えて…とか。やっぱり考えていると思考が広がっていきますね。

Q(ひでちか) :

だじゃれを考えることが生活の一部になっているのですね。
ツイートをする際にだじゃれ以外で意識されてることってありますか?

A(順さん) :

意識できてるかは分からないけど、映画やドラマでイントロからエンディングまで全てグーっと集中するじゃなくて、どこかで息抜きするようなシーンが必要だと思うんですよ。
僕のツイートで皆さんが肩に背負ってるものをほっと忘れられる…そんな瞬間になってくれたら良いなとは思いますよ。


『だじゃれは世界を救う!』はオーバーなことじゃない

Q(ひでちか) :

最後によかったら、だじゃれ活用協会にメッセージをいただけないでしょうか?

A(順さん) :

本当にこういう団体があって、皆さんが頑張ってる…これは素晴らしいこと考えたなと思ってんの。
だから、鈴木さん大変だろうけど、この和やかにする場所を子どもたちにどんどん広げていってほしい。それはだじゃれクラブみたいなものでも良いかもしれないし。それが好きなものを見つけるきっかけ、会話を楽しむきっかけになるかもしれない。

Q(ひでちか) :

だじゃれをきっかけに「自分にも何かできるかもしれない」っていう希望の芽が生まれてくれたらいいなと思っています。

A(順さん) :

「だじゃれが世界を救う」って僕は決してオーバーなことじゃないと思うよ。
俳句のテレビ番組みたいに今度はだじゃれの番組ができるかもわかんないんだから。
世界を救う平和の中にね、こういうだじゃれはあってしかるべきだと思うし、だから続けましょうよ。継続は力ですからね。応援しています!

Q(ひでちか) :

ありがとうございます!


<あとがき>

インタビューで印象に残っているのは順さんのエネルギッシュさと人生を楽しむ考え方です。Twitter上で順さんのだじゃれファンがたくさんおり、ファンファーレを聴いたときのような元気をもらったというツイートを多く見かけます。
これは恐らくだじゃれを発している順さん自身の楽しさが伝染しているからだと思います。
歳を重ねても人生を謳歌したい、順さんのような歳の重ね方をしたいと次回お会いした際に言おうかと思います。ありがとうございました!


▲後日、順さんからとっても素敵なサインが届きました。扇子の前にセンス良く飾り続けます!

インタビュー by 鈴木ひでちか
レポート by 電気とデニム

井上順さんの情報は以下のSNS等からご覧いただけます


◇公式HP

https://www.oh-enter.co.jp/jun-inoue/


◇Twitter

https://twitter.com/JunInoue20


井上順さん初エッセイ『グッモー!』

https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=406


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