注目のだじゃらー Vol.36
かなりーさん
- お名前:かないりえこ(Kanaree)
- 出身地:群馬県前橋市
- 職業:マヤ暦・筆文字・パステルアートの講師
- 趣味:ボウリング(ハイスコアは235)
- 私にとってのだじゃれ:幸せの種
今回のゲストは、8月の「だじゃれ道場(初級編&中級編)」に参加してくださったかなりーさん。筆コメディアンを名乗り、インスタグラムでたくさんの「だじゃれ笑(絵)手紙」を掲載されています。力強い筆文字と可愛らしいだじゃれイラストにほっこりすると共にかなりーさんへの興味もかなーり高まってきたので色々と伺ってきました。
誰も傷つかない世界 = だじゃれ
Q(ひでちか) :
まずはだじゃれの原点についてお聞かせください。
A(かなりーさん) :
元々、筆文字にイラストをつけた真面目な作品をインスタグラムに上げていたのですが、だんだん良い言葉ばっかり書くことに違和感やプレッシャーが出てきてしまって。
Q(ひでちか) :
違和感ですか?
A(かなりーさん) :
良い言葉を上げているけれど自分はどうなんだと。 そこからだんだん書くのが苦しくなってやめてしまっていた時期があったのですが、ふと思いついた「じどり」を上げたところ周りが喜んでくれて。この世界観であれば誰かを傷つけたり、自分がプレッシャーに感じることもないと思いまして。筆文字も目の前にいる人に笑ってもらいたい、笑顔になってもらいたいという思いで書いていましたが、だじゃれも相性が良いじゃんと感じまして。そこから作品集のおまけ的な感じで入れていくようになりました。
▲じどりから、かなりーさんのだじゃれイラストがスタート。ちなみにこの子は4代目
Q(ひでちか) :
偶然の産物だったのですね。「じどり」を上げた時は周りからはどんな反応があったのですか?
A(かなりーさん) :
ウケるとかこういうの好きみたいな反応が多かったですね。
実は「じどり」くんモデルチェンジをしておりまして…現在バージョン3まであります。
大人の事情でマークがオレンジになっていたり、カメラのレンズの数が増えていたり、機種変更をしているんです。
▲時代に合わせての細かなバージョンアップ。細やかな変化をとりこぼさない視点、大好きです
Q(ひでちか) :
インスタグラムのトップページに書かれている「誰も傷つかない世界観」っていう考え方とも通じるのでしょうか?
A(かなりーさん) :
良い言葉とか正論って、まっとうな言葉なんだけど今のタイミングでは聞き入れられないって時もありますよね。私自身も言葉で傷付いたり傷つけちゃったかもしれない事もあるし、良い言葉は私が書かなくても書いてくれる方が沢山いらっしゃるので、せっかく発信するなら、そうじゃない分かりやすく笑顔が増える世界観を発信したいなと感じました。そう考えて発信していくとだじゃればっかりの発信になってしまって、「筆文字界のスキマ産業」と私は呼んでいます。(笑)
Q(ひでちか) :
面白い表現ですね。ちなみに筆コメディアンもご自身で名付けられたのですか?
A(かなりーさん) :
これは吉本興業所属のイラストレーターすぐる画伯さんに付けてもらいました。コロナ禍で芸人さんもなかなか活動できなかったときにZOOMで40分間お話しながら似顔絵を描いてもらうイベントがあって、私はこういう思いで絵を描いているんですと話をさせてもらったところ似顔絵のタイトルに「筆コメディアン」と書いていただきまして。これはもう肩書きにしちゃおうと。
▲すぐる画伯さんからかなりーさんへのイラスト。1枚の絵で人々の琴線をくすぐる素敵な世界観
Q(ひでちか) :
そこから筆コメディアンとなったのですね。今は何割くらいの作品がだじゃれとなるんですか?
A(かなりーさん) :
今はもっぱらだじゃれですね。もう9割くらい。
Q(ひでちか) :
だじゃれ作品が増えたことでかなりーさんにどんな変化が起きました?
A(かなりーさん) :
日常で面白いことを考える時間が増えたので、楽しい時間が増えて落ち込む時間が減りました。作品を書いたらまずは主人にとりあえず見せるんです。苦笑いのときもありますが、とりあえず笑ってくれてるので出勤前に笑って送り出せることが嬉しいですね。
周りの人にも朝は笑ってスタートしてほしいし、夜はお疲れ様でほっこり終わってもらいたい、そんな思いでインスタライブもしているんです。
Q(ひでちか) :
インスタでライブを!?実際どんなことをされているんですか?
A(かなりーさん) :
前日にイラストの色や文字が入っていない下書きをストーリーに上げます。その際、見ている方にどんなだじゃれイラストだと思うか考えてコメントくださいと呼びかけます。
そして次の日にみなさんのコメントを見て一緒に話をしながら色を塗り、仕上げに筆文字を入れて今日のだじゃれですと発表するというようなライブにしていますね。
▲下書きの段階で予想をする。絶対に当ててみせると肩に力が入りすぎるのはよそう
Q(ひでちか) :
考える時間と答え合わせの時間、一度で二度楽しい素敵な時間ですね。ライブはどのくらいの時間行うのですか?
A(かなりーさん) :
朝は忙しいので、30分を目安にしていますが、夜はみんなのコメント等で話が盛り上がると1時間くらいになることもあります。
▲正解を見るとスッキリするとともにほっこり。ちなみに今回の答えは「豆がこぼれた ガビーンズ」
Q(ひでちか) :
下書きの時点でかなりーさんの中では答えは決めてるんですか?
A(かなりーさん) :
一応決めてます。ただ、みんなの予想のほうが良いときもあります。(笑)
Q(ひでちか) :
だじゃれのストックは結構あるのですか?
A(かなりーさん) :
いえ、ないですね。一応インスタライブは週1くらいで行っていますが、頻度を上げるためにも結構考えてますが、だじゃれ道場に参加してからすごく出しやすくなりました。
作り方の定義を学んで柔軟に考えられるようになったというか…今ちょうど来年の干支を絡めた「だじゃれカレンダー」を作成しているのですが、去年のカレンダー作成がとても大変で。だじゃれ道場のおかげで来年度分はもう少し早く出来そうです!
▲8月11日だじゃれ道場初級編の様子。だじゃれの作り方が学べるだじゃれ道場、皆さまもお気軽にどうじょ~
Q(ひでちか) :
協会でも毎年年賀状を作っていますが、昨年度のウサギは難しかったですよね。ダジャレンジャ-の力を結集して何とか作成しましたが、カレンダーで12個だじゃれ作品を考えるのは大変ですね。
作品数って今どのくらいあるのですか?
▲今年(辰年)のだじゃれ年賀状デザインも絶賛募集中!皆さんの積極的な挑戦、受けてたつ
A(かなりーさん) :
以前、数えたときに300は超えていました。
Q(ひでちか) :
300は凄いですね。その中でもお気に入りの作品ってありますか?
A(かなりーさん) :
何といっても「じどり」は私の中では永遠のセンターです。ただ、全部の作品がかわいい子供みたいな感じです。
セレブな豚ちゃんが履いている靴は…クリスチャンルブタン!?
Q(ひでちか) :
作品は販売もされているのですか?
A(かなりーさん) :
最初は筆文字仲間の間でユニクロのオリジナルTシャツ作成サービスが流行して、そこで「じどり」Tシャツを作ったのがきっかけでしたが、今はSUZURIというサイトで販売を行っています。SUZURIはいろんなものが作れて、自分で在庫を持つ必要がないので、とても助かっています。
Q(ひでちか) :
在庫を抱えないのは良いですね。反響のあった作品って何かありますか?
A(かなりーさん) :
「そりゃよカッパね」というカッパのイラストを外部のポストカード展に出展した際、スポンサーさんの賞をいただきました。あとは退職する時に「おせワニなりました」というメッセージ入りのアイシングクッキーを社内の人に配ったのですが、皆さん笑って送り出してくれました。
▲この何もかも他人事な表情がとても可愛い
▲こんな素敵なクッキーを貰ったら、どんなに寂しくても笑顔でSee you later, alligator.
Q(ひでちか) :
「そりゃよカッパね」は子音ずらしですね。かなりーさんのだじゃれってすごくオリジナルを感じるんですよね。
ワニを題材にするとき「おせワニなりました」ってあんまり聞かないです。一般的には「ワニが輪になる」…みたいなだじゃれになりがちです。そう来たか!みたいな作品が多いのですが、先にフレーズを考えているのですか?
A(かなりーさん) :
先にフレーズを考えることもありますし、そうじゃないときも…。ただ私の場合は絵がないと成り立たないだじゃれが多いと思います。
▲この「マジカ…」も確かに絵を見ることでだじゃれが伝わる。こんなテクニックを使う人が間近(まぢか)にいるなんて。
Q(ひでちか) :
作品を作る中でのかなりーさんのこだわりってありますか?
A(かなりーさん) :
なるべくシンプルで分かりやすいことは心掛けていますね。あとは細かいこだわりを意識的に取り入れたりですね。例えばこのセレぶぅちゃんは赤いソールのヒールを履いてるのですが、これクリスチャンルブタンの代表作なのです。あと胸につけている真珠のネックレスは豚に真珠と掛けていたり…と。言わないと分からない自分だけのこだわりをイラストに入れたりしています。
▲豚に真珠やクリスチャンルブタンなど芸が細かくてとんでもない
Q(ひでちか) :
面白い。見えないところにかさぶたもあったりして。(笑)
張りつめた気持ちを一瞬ゆるめられるような存在へ
Q(ひでちか) :
かなりーさんのお話を伺っていて、周りの人に喜んでもらいたいみたいな思いがとても伝わってくるのですが、何か心掛けていることがあるのでしょうか?
A(かなりーさん) :
世の中の人はめちゃくちゃ頑張っていると思っていて、もちろんお仕事されている方もそうですし、家事や育児や介護だってそうですし、それこそ子供たちだって毎日頑張っていて…ただ頑張るのイメージが私の中ではゴムをずっと引っ張り続けることだと感じていて、ずっと引っ張り続けると切れてしまうじゃないですか。そういった張りつめたゴムを一瞬でも緩める時間にできないかなと思っています。大きなことができる人間ではないですし、人見知りで面白いことを言えるタイプではないですが、時間を掛けてイラストなどで表現することはできるので。
Q(ひでちか) :
だじゃれは張りつめた空気を和ませたり、空気を変えて周りを楽にしたりできますよね。こういったことが広がっていけば協会の理念でもある「だじゃれは世界を救う」に繋がっていくと思います。
A(かなりーさん) :
まだまだ認知度がそんなにないのですが、小さなことからでも繋がっていければうれしいです。
Q(ひでちか) :
今後の展望や目標はあるのでしょうか?
A(かなりーさん) :
本当に大きい目標としてはお仕事としてだじゃれと関わりたい、「筆文字×だじゃれイラスト」は私しかいないと思ってもらえるようになりたいですね。あとはこの活動を通して今まで出会わなかったような世界の人たちとも関わりたいと思っています。
たまたまお声がけいただいて横浜赤レンガ倉庫での展示会に出品させていただいたり、来年の2月にも上野の森美術館で日本の美術全国選抜作家展に出品させてもらうことが決まって今からもうドキドキしています。
Q(ひでちか) :
凄いですね。選抜っていうくらいだから本当に選ばれた人が出展するのですか?
A(かなりーさん) :
横浜の赤レンガ倉庫に出展したとき、一般投票があり、恐らく他の作品と比べると異色で結構票を入れてもらって2位だったんです。全体で141点出展があった中で100人を超えた投票があったのは1位と私の作品だけだったみたいで。
その後、海外でも出展しませんかというお話もあったんですが、挑戦したい気持ちはありつつも今はお断りしています。
▲第5回クリスマスアートコンペティションinYOKOHAMA出展作
Q(ひでちか) :
外国人にとても受けそうな気がしますね。
A(かなりーさん) :
横浜のときも外国の方が結構指差して笑ってくれていて。一応、じどりTシャツの裏面は英語表記にしているんです。
▲じどりTシャツの裏面だから鳥も後ろ姿に。こういう細やかな仕込みネタがかなりーさんのイラストでは楽しめる
Q(ひでちか) :
セルフィ―良いですね。これは外国の方喜びますよ、仮に自分で意味が分からなくってもこのTシャツを外国の方が着ていたら日本人が面白がってくれると思います。
最後に定番の質問となりますが、かなりーさんにとって『だじゃれ』とはなんですか?
A(かなりーさん) :
一言で言うと「幸せの種」です。
Q(ひでちか) :
良い言葉ですね。その心は?
A(かなりーさん) :
蒔いていくことによって笑顔の花が咲いていくイメージですね。そのためにも外国の方にも楽しんでもらえるよう英語の勉強も頑張らないとですね。
Q(ひでちか) :
こんな素敵な作品に出会えてよかったねと思う人が一人でも増えてくれると良いですね。かなりーさんから笑顔の花が広がっていくこと応援しています。
本日はありがとうございました。
<あとがき>
インタビューで印象に残っているのはかなりーさんの相手目線の作品作りです。周りの人が参加して二度楽しめるインスタライブや頑張っている人への思いなど…作品からもにじみ出る優しいお人柄に触れることができました。これからも筆文字界のスキマ産業として色んな人へ笑顔の花というタスキ回していってください!
インタビュー by 鈴木ひでちか
レポート by 電気とデニム
かなりーさんのダジャレグッズ購入や最新情報は以下のURLから!
◇公式ショップHP(SUZURI)
https://instagram.com/poco_a_poco_kanaree?igshid=MzRlODBiNWFlZA=
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