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注目のだじゃらー

Vol.2 パクチーハウス東京・佐谷恭さん

佐谷恭さん

  • お名前:佐谷 恭(さたに きょう)
  • 生年月日:昭和50年3月10日
  • 出身地:神奈川県秦野市
  • 職業:日本パクチー狂会 会長
  • 趣味:旅行・Cialthon(シャルソン)
  • 私にとってのだじゃれ:心の潤滑油

「今月のだじゃらー」第2回ゲストは世田谷区・経堂にあるパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」オーナーであり、「日本パクチー狂会」会長の佐谷恭さんです。
「ビジネスの89%はダジャレでできている」と公言される佐谷さん。パクチーハウス東京の開店の経緯や、だじゃれネーミングメニューの効果をお伺いしました。

Q :

女性を中心に大人気のパクチーハウスですが、まずはお店を開いたきっかけを教えてください。

A :

お店をオープンしたのは2007年、「日本の中のコミュニケーションのあり方を変えたい」というのがきっかけです。若い頃から世界中を旅していました。旅をして自分の立場を変えてみると、世間で決めつけられていることにたくさんの間違いがあることに気付けます。旅はたくさんの友達を作り、様々な発見を繋げてくれます。そんな想いから「株式会社旅と平和」を立ち上げ、様々な発想ができる人を集める場を作ろうと思いました。ただ実際に、何から始めて良いか分からなかったんです。半年位考えて自分にできるのは飲み会を開くことしかなかった。学生時代から、1,000回以上飲み会は企画していたので、旅と平和の概念を伝えるような場所が作れないかなと思って始めたのがパクチーハウスだったんです。

Q :

なぜまたパクチーに目を付けたのですか?

A :

元々は、料理研究家の同級生と開いたパクチーパーティーがきっかけです。参加者を集めたら、パクチーに対する反応が様々で面白いなと思ったんです。「すっごい暇だけど、絶対行かない」という人もいれば、「予定があるけど、変更してでも行くよ」といった感じです。大人は好き嫌いを隠そうとする人が多いと思いますが、パクチーは日本ではあまり使われてないせいか「あんなん食えるかよ」という反応があり、逆にそれが仲間を集めるきっかけになるかもと思いました。国でいうとインドですかね。インドは好き嫌いがハッキリしている。行きたい人も行きたくない人もいて話題になっているのに、多くの人はインド、バングラディシュ、パキスタン辺りの違いが分かっていなかったりしますよね。インドは西ヨーロッパと同じ位の面積があるので地域によって違いがあるのに、そういうことは無視されて「インクレディブル・インディア」と称され、みんなが話題にして、他の国と差別化されている。パクチーにもそんな力があると思ったんです。それで「日本パクチー狂会」っていうサイトを作ったら、1カ月で100人くらい登録があって、自分のインターネット経験で初めて注目を浴びることができました。

Q :

Paxiという綴りも独特ですね。

A :

本来、タイ語の綴りでは、“phakchi”ですが、これだと日本人には書けないと思いました。私は、当時流行り始めていた“mixi”が大好きで、“mixi”の名称が人を“mix”に由来すると聞いて、“mixi”をパクってみました(笑)。さらに、ラテン語で“pax”は「平和」を意味するので、社名の「旅と平和」の意味も掛けられると思って、“Paxi”を使うことにしたんです。ネットで話題にしてもらうなら、短いキーワードにした方が良いと思って考えていたら、「旅と平和」という自分自身のコンセプトにも繋がってきたんです。

Q :

パクチーだけに、中々、インパクチーがある話ですね(笑)ネーミングを付けるのには色々とこだわりがある方ですか?

A :

あると思います。なんでか分からないですけど、昔から言葉遊びが好きなんですよね。小学校の詩の時間とか、つまらないじゃないですか。


佐谷 恭(さたに きょう)

cialthonのフラッグを背に、インタビューに熱くお答えくださる佐谷さん

そういう時に韻を踏んだ替え歌を作ったりして、みんなが朗読している時にクラス中に回覧してみんなを笑わせていました。先生にすっごく怒られましたけど、最高にウケていましたね。詩ってリズムがいいですよね、いくらでもパロディができちゃう。

Q :

ビジネスでもその言葉遊びのセンスを活かされている?

A :

はい。「日本パクチー狂会」もそうですが、長続きする会合を作る秘訣は、面白い名前を作ることだと思います。会社を経営していても、色々な場面で名前を付ける機会があります。

Q :

パクチーハウスのメニューにも、たくさん言葉遊びが使われているようですね。

A :

そうなんです。オリジナル料理を作ったらすべて名前をつけます。「何とかの何とか焼き」といった普通の名前はやめて、自分たちが付けた名前をどんどん広めたいんです。その代表格が、「ヤンパク」です。ラム肉とパクチーの料理なんですが、羊を中国語で「ヤン」、それとパクチーをかけて「ヤンパク」です。これを主力の目玉商品にしたくって、「ヤンパクでもいい、たくましく育って欲しい」って売り出しました(笑)いま他のパクチー料理専門店で「ヤンパク」って名前が使われているのを見ると、「しめしめ」って思います(笑)

Q :

パクられてOKな訳ですね?

A :

はい。そういった名前をつけることが多くて、面白くて分かり易くて、繰り返し言いたくなるような名前を色々つけ出したら、「だじゃれが多いね」と言われることが多くなりました。最初は「ビジネスの半分はだじゃれだよ」と言っていたんですが、半分どころじゃないと思って、「パク(89)」にかけて、「世の中のビジネスの89%はだじゃれでできている」と言うようになったんです。本当にそれくらいの勢いじゃないかと。

Q :

面白いですね。他にもお気に入りのメニューはありますか?

A :

「フランパクフルト」ですかね。タイ風のソーセージにパクチーの葉っぱと根っこを入れて、パクチーの味わいを強くしたものですが、フランクフルトとパクチーを掛けて考えました。最近だと、「ライムに八九味(パクミ)でつかまえて」という季節メニューを考えました。アメリカの小説『ライ麦畑でつかまえて』を文字ったのですが、「八九味(パクミ)」は七味唐辛子に、パクチーの種と葉っぱを加えたもの。夏らしく清涼感のある味になっています。

Q :

「89(パク)」という数字にもこだわりがあるんですか?

A :

はい。価格設定もヤンパクのシングルサイズが890円とか、他にも1289円といった価格設定は多いですね。

Q :

すると、8月9日は記念日?

A :

はい、2005年に「パクチーの日」を制定して、毎年、パーティーをしています。他に面白いところでは、3月30日。新年から数えて89日目に当たる日で「セントパクトリックデイ」と呼んでいます。アイルランドに「セントパトリックデイ(3月17日)」というお祭りがあります。本家は、クローバーをモチーフにした緑色の服を着て町を歩くのですが、こちらは当然、クローバーじゃなくてパクチーです(笑)本来はアイルランドにキリスト教を広めた聖人パトリックの命日をお祝いする日ですが、こちらは、そういった宗教色とか真面目に考えるのではなく、「パックス(ラテン語で平和)」と「トリック」をかけて、シンプルに緑色の服で来店して、楽しみましょう!というコンセプトです。

Q :

数々のだじゃれネーミングに対するお客さんの反応はいかがですか?

A :

メニューを見てだじゃれが多いと「これは何ですか?」と興味を持ってもらえますね。帰りの電車とか会社でも話をしてもらえているのではないかと思います。

Q :

コミュニケーションや会話のきっかけになっているということですね?

A :

はい。面白いところでは、豚バラを柔らかく煮込んだ「パクパクピッグパクポーク ビッグパクパクパクポーク」という早口言葉のようなメニューがあります。

パクパクピッグパクポーク ビッグパクパクパクポーク

パクチーの天ぷら「パク天」と「パクパクピッグパクポークビッグパクパクパクポーク」!!

このメニューは、フルネームで言ってもらわないと注文を取らないことにしているんです(笑)名前を大事にしてもらいたいという思いからですが、お客様も喜んで必死に覚えてくれたり、店員が流暢に発音すると拍手がもらえたりして、お客様との一つのコミュニケーションのきっかけになっています。

Q :

冒頭、「日本の中のコミュニケーションのあり方を変えたい」と仰っていましたが、だじゃれネーミングがお客様とのコミュニケーションのあり方を変えているようですね。あらためて今日はインパクチーのあるお話をありがとうございました!後ほど、「パクパクピッグパクポーク ビッグパクパクパクポーク」を注文してみたいと思います。

A :

はい、是非お試しください。今日はありがとうございました。

佐谷 恭(さたに きょう)

ツーショットをパクチリ!

<あとがき>

子どもの頃から言葉遊びが好きだったとおっしゃる佐谷恭さん。数多くの国を旅されて、たくさんの言葉に触れて来られた経験からか、言葉に対する感性や言葉の引き出しがとても豊かにと感じました。「世の中のビジネスの89%はだじゃれでできている」。だじゃれ活用協会・代表理事の私ですら「ちょっと言い過ぎ?」と思っていましたが、取材をしたこの日もパクチーハウスの店内は満席で一カ月先まで予約がいっぱいとのこと。だじゃれネーミングがその一翼を担っているとなると、あながち誇張でもないかも。だじゃれの波及(パキュー)効果、計り知れないものがあります!

日本だじゃれ協会様!ご来パクありがとうございます

ご用意いただいたテーブルにはこんな心遣いが。ごちそうさまでした!

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