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注目のだじゃらー

注目のだじゃらー Vol.12 萬木 善之さん

萬木 善之さん

  • お名前:萬木 善之
  • 生年月日:1973年6月28日
  • 出身地:岡山県笠岡市
  • 職業:フラワーアートディレクター
  • 趣味:サッカー、スポーツ観戦、映画鑑賞
  • 私にとってのだじゃれ:パートナー

今回のゲストは、苔(コケ)を使ったアート作品で、世の中をアッと言わせている「苔アーティスト」の萬木善之さんです。実は萬木さんは1998年から現在まで、フィギュアスケート国際大会でメダリストのブーケ制作も担当されるなど、華々しく活躍されている本格派フラワーアートディレクター。そんな萬木さんに、思わずズッコケてしまうような数々の作品をご紹介いただきながら、お話を伺ってきました。

Q :

まずはご職業から伺えますか?

A :

フラワーアートディレクターです。お笑いの時は、苔アーティストと言っています。

Q :

もともと、お花は家業か何かですか?

A :

うちが生花店なんですよ。でも、大学を出るまでは花には一切、触ってなかったんです。女の子みたいな感じがするし、長男なのでどうせ将来継ぐことになるのだろうというのもあって。ところが、卒業後、専門学校に行ったら造形美が面白くて。1年で専門学校を卒業して、やらなきゃ上手くならないなと思い、即戦力として活かしてもらえそうなスウェーデンへ半年間フラワーデザインの勉強をしに行きました。帰国後は色々なコンテストにも参加したのですが、何か違うな?と思っていたところにリーマンショックが起きて、経営革新塾へ行ったんです。そこで「お花っていいよね、人を感動させてくれるから」と仰ってくれた先生との出会いによって、考えが大きく変わったんです。花で人を喜ばせることができるんだ、フラワーアーティストは芸術性だけではない・・・と固定観念がガラッと崩れましたね。

Q :

そこから「笑い」には、どのように繋がったんですか?

A :

東日本大震災の復興支援の一環で、成層圏にひまわりの種を打ち上げる“ひまわりプロジェクト”でアメリカに行った時のことが原点になっています。一緒に車に乗っていた友人のアマチュアカメラマンが、実は目の病気であることを突然、カミングアウトしてくれて。その人が「僕は目が見えなくなるまでに子ども達の笑顔の写真を取り続けたい」と言っているのを聞いて、「俺、ちっちぇな」と思ったんです。で、自分ができることは何だろうと考えて、「俺は植物を使って人を笑かすわ!」とその友人に約束したんです。それからやることが明確になった感じで、どうやったら人は植物で笑ってくれるのかを探求しているうちに、だじゃれにも繋がってきたんです。

Q :

最初につくった作品は何だったんですか?

A :

『え?コケ(苔)カー』です。「エコカー+コケ」、というのもありますけど、「え?これ本当に苔かぁ?」という意味もかかってます(笑)でも、なぜそれを作りたいと思ったかはあまり覚えていないんです(爆)

萬木 善之さん 萬木 善之さん

写真左: 車に苔を敷き詰めた『え?コケカー』
写真右: 最新作の『車にポピー』

Q :

これはどうやって作ったんですか?

A :

スズキ自動車のラパンに、苔のシートを敷き詰めて1ヶ月位かけて作りました。本当は苔は多肉植物を植えるための土台のつもりだったんですが、えらい可愛くて。車は置いておくよりも走らせた方が面白いし、走ると多肉植物は落ちてしまうので、それで苔だけになりました(笑)


Q :

ネーミングが先ですか?それとも、作ってから考えたんですか?

A :

この時は作ってからだったと。その時はまだ、だじゃれどうこうとは考えていなかったと思います。

Q :

『え?コケカー』の反響はいかがでしたか?

A :

凄かったです。警察署に道路交通法に違反がないかを問い合わせた上で、落成式もしたりして、地元のメディアで多数取り上げられました。東京ドームで行われた国際ラン博に出る時は、岡山から東京まで時速40キロで4日間かけて乗って行きました。2万人位の人に写真を撮られたと思います(笑)この辺りからちょいちょいだじゃれを使うようになりましたかね。「ランで装飾された車を見たくないですか?」「一緒に写真に写らんかー?」と宣伝してみたり、事前に収録しておいた音声を使って「右手をごらんくださいませ」とか、「何やねんこの車?」という人がいたら「そんなの知らんがなー」とスマホの操作で車に喋らせたりしました。そうすると子どもも大人も喜んでくれましたね。



Q :

色々な作品でだじゃれが使われているようですが、どうしてだじゃれにたどり着いたんですか?

A :

2013年に広島県福山市で『笑いコケ展』を開いたんですが、朝日新聞が大きく取り上げてくれて、それをきっかけに新聞とテレビ局が5社ずつ来てくれて。それで、だじゃれってスゴイんだなと思いました。この時は、苔でニワトリを作って『コケコッコー』とか、苔は英語で「モス」なので、ハンバーガーを作って『モスバーガー』としたりしました。

萬木 善之さん 萬木 善之さん

萬木 善之さん

“笑いコケ展”に出品された作品の数々。
左から『コケコッコー』『コケティッシュ』『モスバーガー』

Q :

「コケ」って、だじゃれを作りやすい言葉ですね。

A :

そうなんです。苔のだじゃれだったら誰にも負けませんよ(笑)

Q :

作品を作ってどういう瞬間が嬉しいですか?

A :

やっぱり喜んでいる人がいるのがいいですね。綺麗とかはどうでもよくて、楽しいとか、面白いとか、そういう言葉が嬉しいですね。

Q :

今の世の中、何かと暗い話題も多いと思いますが、そんな中での「笑いをどう捉えていらっしゃいますか?

A :

福島で復興支援のプロジェクトにも関わっていますが、やっぱり大切なものなのかなと。復興のためには、立ち上がれる人から順番に戻っていかないといけないと思うんです。時間がかかってもいいので、ちょっとずつでも前に進んで通常の生活に戻っていかないといけないのではないかと。そんな中、笑いがあることで少しずつでも前に進めることもあるんじゃないんですかね。

Q :

笑いは人をポジティブにする力がありますよね。

A :

そうなんです。「植物で人を笑わせたい」という想いはありますけど、それが俺のエゴじゃ、あかんなって思います。

Q :

エコじゃなくてエゴですね(笑)

A :

うまい(笑)!笑いって何に活きるのかなって思うんです。そう思った時に、「笑いの医療ってあったら凄いと思うんです。植物で笑いを提供して、それが薬となって笑いの医療に結びついたらいいなって。パッチアダムス(注釈:米国映画。医師が道化や笑いを患者へ提供して治癒へ繋げてゆくストーリー)みたいに。

Q :

笑いでクスリですね(笑)

A :

そうそう(笑)ワクワクしている時って、フローな状態で体にとってもいいと思うんです。桜を見ているとワクワクしますよね。あれって、ピンクの情景という、一年に1回の非日常体験から来るんですよね。僕はそういう非日常感を味わうことができるものの小さい版を作っているのかなと。

Q :

萬木さんの作品はビジュアルになっているのが素晴らしいと思います。だじゃれは本来、言葉だけなので、スッと流れていってしまうんですよね。

A :

テロップにしてあげるといいんじゃないですかね。これは先ほどの国際ラン展の作品ですけど、例えば「僕は輝いているよ、キラ~ン」「いま来たけどもう帰らんか?」とか「最近、儲からんな」とか、みんな「くだらんなぁ~」と言いつつ笑ってくれているんですよね。やり方、見せ方次第で、だじゃれもこんな風にデザインでいくらでも変えられます。

萬木 善之さん

↑ お花でできたトイレ“秘密の花園”、~トイレでとーとー作ってみました~

Q :

今後の夢や実現したいことは何ですか?

A :

デザイナーとしてパリコレに出てみたいと思ってます。

Q :

パリコケではなく?(笑)

A :

やっぱりそう来るかと思いましたが、本当のパリコレです(笑)

Q :

最後に萬木さんにとってだじゃれとは?

A :

パートナーですかね。作品を作った上にさらにスパイスをかけてくれるような存在です。それで勝負が決まってしまうことも・・・

Q :

スッパイ(失敗)することもある訳ですね(笑)今日はありがとうございました!

萬木 善之さん

↑ ポピーのネクタイでポピーアール

<あとがき>

以前にダジャレディの一人から「苔アート」のことを聞き、さらに萬木さんとの共通の知人が見つかって、お会いできるのをもーすこし、もーすこしと待ちわびていました。今回、萬木さんのご出張のタイミングに合わせて、満を期してご対面となりました!
紹介し切れないくらい次から次へと飛び出す萬木さんのアート作品に圧倒されっ放しの1時間でした。サッと流れてしまいがちなだじゃれを如何にカタチにするかはだじゃれ活用協会の課題の一つ。萬木さんとのコラボが実現する日が楽しみです!!

インタビュー&レポート by 鈴木ひでちか

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