Vol.4 ダジャリストゆうさん
- お名前:ダジャリストゆうさん
- 生年月日:昭和59年10月3日
- 出身地:神奈川県大和市
- 職業:ダジャリスト/SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)NEET Project所属
- 趣味:だじゃれ、ギター、絵を描く
- 私にとってのだじゃれ:芸術
「今月のだじゃらー」第4回ゲストは、「だじゃれはアートである」と唱え、だじゃれを和歌や俳句、川柳などと並ぶ”言葉の芸術”として昇華させることをめざし、その発表の場として”お笑い”の世界に活躍の場を求めた、だじゃれ芸人、いや、だじゃれアーティスト。「ダジャリストゆう」さんです。
めくるめくだじゃれアートの世界とそれがもたらす幸せについてお伺いしました。
Q :
「ダジャリスト」と名乗られていますが、どういう意味がこめられていますか。
A :
だじゃれは俳句、和歌、短歌に継ぐような芸術だと思っています。世間的には寒いとか、くだらないと思われていますが、言葉を使った表現方法の一つとして成立すると思うので、それを表現する人間ってことでダジャリストと名乗っています。
Q :
我々の協会ははだじゃれを使って世界を救うことを意識しているため、ダジャレンジャーと名乗っていますが、ゆうさんはだじゃれをアートする人、ダジャリストということですね。今後ダジャリストを増やしていくことは考えていますか。
A :
いいえ。高校生の頃から孤高のダジャリストを目指してます。
Q :
だじゃれを初めて意識したのはいつ頃ですか??
A :
幼稚園の頃です。けがをした時に母親からオロナインを塗ってもらって、「塗ったけど なおろないんだけど」と言って少し滑った感じになったのが生涯初めてのだじゃれでした。
Q :
その時何かが目覚めたのですか?
A :
その時は特になく、人前で発表しようと思ったのは10歳位でしょうか。
当時嘉門達夫さんのような替え歌が流行っていて、そのノリで言葉遊びのようなものを始めたのがきっかけでした。一人で思い付いたものを友達の前で披露してました。
ネタ帳の一部を公開してくださいました。アートなフレーズがぎっしりと
Q :
現在若手のお笑い芸人として活動されていますが、そこにはだじゃれを使うということで行きついたのでしょうか。
A :
元々お笑いは詳しくなくって、ボケたり、突っ込んだりという形のお笑い芸人としては成立してないのですが、だじゃれを披露する場として、お笑いライブが一番近いのでなはいかと思っています。
手軽にできたり、たくさんの人に観てもらう場ってなかなかないんですよね。
Q :
同じような言葉の芸術と言う観点では、落語等の領域もそうかなと思うのですが。
A :
元々あまりしゃべりが得意でなはいので、落語家さんという感じではないですね。絵とか物を使ってだじゃれを発表するのが好きです。
だじゃれって大きく分けて2種類あると思うんです。日常の言葉の中でポロっと出てくるようなだじゃれと、長すぎて一瞬考えてしまうようなだじゃれ。例えとしては「マイナスイオンで曖昧な水温になった」とかは、詩のように完成しているひとつの作品として出来上がっていると思うんです。
コミュニケーションの中で出てくるだじゃれと、考えて考えて出てくるだじゃれは全く違っていて、僕はどちらかと言うと会話の中で出てくるものより、少し考えて出てくるような物の方を提供したいので、「こういうものを創ってきました」とフリップや物を使ったりで表現する方が気持ちいいですね。
Q :
笑いをもたらそうというより、芸術を観たときの感じに近いですね。
A :
最近先輩に言われたのが、マジシャンの型が一番近いんじゃないかと。マジックショーみたいな感じでフォークを取り出して、曲げるのかと思いつつ、フォークに将棋の「歩」を置いて『フォークに「歩」を置く』みたいなだじゃれショーをエンターティナーとして披露していく。マジシャンも笑いではなく、エンターテイメントですよね。
Q :
今は事務所に所属されているんですよね。その中ではどれくらいのポジションにいらっしゃるんですか。
A :
真ん中より下ですね。一線で何十年の芸歴をお持ちの先輩も多いし、お客さんも笑いに来ている方達ですので、ちょっとコンセプトが違うのもあって、なかなか票が入らず苦戦してます。ただ、張り合って行くのではなく、見てくれる方がいて、そこで披露できて、盛り上がればいいなと思ってます。
当日が所属事務所のネタ見せ会だったとのことで、ネタのフリップを見せていただくことに
光景が目に浮かぶ、物語性のあるだじゃれ
Q :
芸を見て頂いて披露していく、それだけで続けていくと疲労しませんか?
A :
ある意味ヒーローになれる。
お笑いの世界ではだじゃれをストレートに芸にするって本当はタブーになっていて、ネタとしてだじゃれを言ったら寒い感じなのですが、誰も触っていない分野なので、やる価値はあるかなと思ってます。
Q :
だじゃれを産み出すコツのようなものがあったらご披露いただけませんか?
A :
最近多いのは、夢の中で言っていて、「睡魔に襲われてすいません」とかは夢で思い付きました。
夢の中で言ってるだじゃれって、起きて改めてみるといまいちだったりって思われるかもしれませんが、これが意外とよくできていて、「阿修羅の足裏マッサージ」も夢の中で浮かんだ作品です。
Q :
夢の中ではゆーめー人だったのに、起きたら有名無実でした、なんてオチも?。
一生懸命考え込まれただじゃれって、どちらかと言うと「それ面白くないよね」って自分で後処理するものが多いですよね。すごく考えたものがリアクションがないのはさみしくないですか。
A :
滑るとか、滑らないとかは関係ないです。発表する時は、「こういうものを創ってきました、見て下さい」っていう展示会みたいなものなので、お笑いライブという形なのでまったく反応がないと滑ったという見方をされますが、個人的には関係ないですね。
アーティストって、ミュージシャンでも絵を描く人でも、評価ってそこまで気にしてないと思うんです。出すことが嬉しかったり楽しかったり、表現することに重きがあるのであって、生み出すことが快感です。
Q :
生み出したものから伝えたい想いとか、メッセージはありますか?
A :
だじゃれは世間で過小評価されてると思うんです。
情景が浮かぶような詩的なだじゃれはもっと評価されていい。まぁ元々ひねくれ者なので、みんなが大好きなものよりは、他の人とは違うぞ。っていうことを示すことができるだじゃれが好きなのかもしれないですね。
Q :
観客に求めるアクションはありますか?
A :
興味を持ってもらえるのが一番うれしい。だじゃれって単発で終わるもので、家に帰って思い出し笑いするものではないので、その時に受けた感動を次のライブにもう一度求めてくれればうれしいです。。
Q :
だじゃれは日本人は誰でも作れるというものと捉えていますが、ゆうさんのステージを観て自分もやってみよう。と思われるのはどうでしょうか?
A :
勿論誰でも気軽にだじゃれを使ってもらうのはいいのですが、願わくばまず、どういう風にだじゃれと接していくか、考え方をまず覆してもらいたい。「靴がSサイズだから、覆す」。大多数の人はだじゃれをなめていると思うけれど、俳句だって、短い文章の中に情景が浮かんで、という感じはだじゃれと同じだと思うんです。なぜ俳句だけが芸術扱いされるのか、個人的には疑問です。
Q :
ゆうさんの芸術に触れるにはどこへ行ったらいいですか。
A :
千川のライブハウスにいらして頂ければ。月に数回はライブしてます。
単独のライブもできればいいなとは思うのですが、例えば1時間ずっとだじゃれライブとなると難しいかもしれないですね。
だじゃれを軸にしたイベントの中で、アートとしてのだじゃれ、のステージを持たせてもらえるような形がいいのかな。それでイベントの後でいい弁当とか食べたいです。
Q :
ゆうさん自身はだじゃれを芸術として昇華していきたいと向き合っている、だじゃれの求道者という印象を受けました。これからもだじゃれ文化を一緒に広めて行きましょう。ありがとうございました。
A :
はい。ありがとうございました。
最後にプレゼントした”だじゃれ笑てがみ”と一緒に
<あとがき>
会話の中で場を和ませる、ではなく、練りに練っただじゃれを作品として披露する。一見私たちだじゃれ活用協会の目指すものと相反するようにも思われるかもしれませんが、だれにでもできる言葉遊びの「だじゃれ」を無造作に扱うのではなく、言葉の大切さ、素晴らしさを伝えることに熱意を持って取り組む、ダジャリストゆうさんの活動は、“だじゃれは世界を救う”という、私たちの理念としっかり呼応していることをこぉうして知ることができました。
(インタビュー&レポート:ダジャレンジャー3号にしっぽ、ダジャレディ2号あずりん)