注目のだじゃらー Vol.32
フェリス女学院大学 ダジャレサークルのみなさま
インタビューに参加したサークルメンバー。コロナ禍で集合写真がなく、豪勢に合成していただきました!
- サークル名:「ダジャレ・ヌーボー」
- 創立年:2003年
- 所在地:神奈川県横浜市
- 活動内容:新作ダジャレ創作、ダジャレのSNS発信(Instagram・Tiktok)、 ダジャレの日本語音声学的・音響音声学的分析とトレーニング活動
- 私たちにとってのだじゃれ:新種のアイスブレイク
今回インタビューするのはフェリス女学院大学のダジャレサークル「ダジャレ・ヌーボー」です。以前、注目のだじゃらー Vol.11フェリス女学院大学・齋藤孝滋教授をゲストにお招きしましたが、今回は、教え子の現役サークルメンバーを中心にお話を伺いました。
素敵な女子には助手が必要だろうということで、だじゃれアンバサダー・かとう唯ちゃんにもインタビューに参加してもらいました。
ねずみの絵文字は2種類のだじゃれに活用できる!?
Q(ピロタカ) :
簡単に皆さんの自己紹介とこのサークルに入ったきっかけを教えていただけますか。
A(エース田中) :
今部長をしているみなさまとダジャレを言ったなかの田中です。
入部のきっかけは大学のおしゃれな雰囲気とダジャレサークルのギャップが面白くて。あと、先生の優しさに惹かれました。
▲大学の外観。こんなおしゃれな大学にダジャレサークルなんて冗談はよしなしゃれと言われそう。
A(ウルトラナナ) :
七色に輝く声のナナです。由来は歌ったりアナウンスをしたり、と声を使うのが得意なので先生にこんなに素敵なニックネームをつけてもらいました。
入部のきっかけはとにかくレアな部活に入りたかったからです。
A(アタッカーれいあ) :
ダジャレの例は私に任せてのれいあです。由来はいろいろなアイデアを出すのが好きだったので先生につけてもらいました。
ダジャレには場を和ませる力があると思っています。このダジャレの力で様々な人とコミュニケーションを取りたいと考え入部しました。
A(アーティストあや) :
彩り豊かなあやです。イラストを描くのが得意でダジャレサークルのInstagram運営をしています。
先生が幅広い活動で彩り豊かに活躍できるようにという思いと名前のあやを掛けてニックネームをつけてくれました。
入部のきっかけは、どのようなダジャレでも温かく受け入れてくれるこのサークルの雰囲気に惹かれたことです。
▲Instagram。あやさんを筆頭にみんなの力で彩り豊か
A(フローレンスはな) :
端(はな)から笑いマウスのはなといいます。漢字で「端から」と記述して、初めから、最初からという意味で、ミーティング中に私が最初に笑うことが多い事が由来になります。
もともとお笑いが好きで入部しました。
A(SHOWTIMEゆうか) :
「ってゆうか(というか)」ゆうかだもんのゆうかです。口癖でよく使う言葉がニックネームになりました。
きっかけは高校の放送部での実績(アナウンス部門:県大会出場、動画編集技術部門:全国大会出場)が活かせるのではないかと思ったからです。
A(ホールインワンゆか) :
愉快(ゆかい)なダジャレで魅力しまうすのゆかです。
入部のきっかけはサークルの名前・活動にインパクトがあり、第一印象から人に覚えてもらえるのではと思ったからです。
▲過去の部員紹介。皆さんあだ名を今回の取材に合わせてバージョンアップしてくれています!
Q(ピロタカ) :
みなさん自己紹介ありがとうございます。ニックネームからダジャレ愛が伝わってきます。サークルメンバーは7人ですか?
A(エース田中) :
今メンバーは全部で8人です。ただ3年生の子が就職活動で忙しく、なかなか活動に参加できないので、現在は主に7人で活動しています。
Q(ピロタカ) :
齋藤教授、今日はジョルジュとお呼びしても良いでしょうか?
ダジャレサークルは2003年創立でしたっけ?
A(ジョルジュ斎藤教授) :
はい、今年で20周年を迎えますね。
Q(ピロタカ) :
20周年なにかイベント考えているのですか?
20周年なので、Nizi Project全員でNiziUの曲でダンスを踊るとか・・・。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
なにか、面白いことはやりたいですね。
Q(ピロタカ) :
この20年の歴史の中で部員が1人になりサークル存続の危機もあったというお話を前回お聞きしましたが、よく途切れずに20年間もサークル活動が続いていますね。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
東日本大震災が起こるまでは、テレビやラジオなど様々なマスメディアに出させてもらっていました。ただ東日本大震災の後はなかなかダジャレを言える雰囲気じゃなくなって。同時にメンバーも少しずつ減ってしまう…みたいな年が2年間くらいありました。
その間、昼休みにお弁当を食べながらダジャレをノートに書き留めたり世間話をしたりとなんとかタスキをつなぎながらの今という感じですかね。その間にまた徐々にメンバーが増えてきて。
Q(ピロタカ) :
何度か危機がありながらも20年間ジョルジュとその時々のメンバーでタスキ(助け)合ってきたんですね。
A(エース田中) :
実は去年、私ともう一人の3年生の2名になっちゃったんですよ。しかもその子が忙しくてなかなか来れず…1人の時期が続いていました。
Q(ピロタカ) :
昨年もそんな大変な時期があったのですね。
A(エース田中) :
そんなときに7色に輝く声のナナが入ってくれまして。そこから1年生が一気に加入してくれました。
Q(ピロタカ) :
良かったですね。それでは今は1年生が一番多いのですか?
A(エース田中) :
はい、そうです。
Q(ピロタカ) :
しばらくは安泰ですね。ちなみに卒業生との交流はあるんですか?
A(ジョルジュ斎藤教授) :
今はほとんど全国に散らばっていて、ときどき結婚式の招待が来るくらいですが、その分、横のつながりは深く強固です。その時々のメンバーのやりたいことを一生懸命やっていて…。前回、インタビューでお話した時はシュメール語のダジャレ研究がメインだったのが、今はまた全然違う形になっています。
Q(ピロタカ) :
凄く皆さんの仲の良さは感じます。今のメインの活動はどういったものになりますか?
A(エース田中) :
若い世代にもっとダジャレを楽しんでもらいたいなと思ってダジャレの新規開拓に力を入れています。
今、新しい言葉が増えてきているので、日常会話とかで使えるようなダジャレフレーズを発見して広めていきたいですね。
Q(ピロタカ) :
具体的にはどういったフレーズですか?
A(エース田中) :
例えば「よろしくお願イタチマウス」はぜひ使ってほしいです。他にも仕事の場であっても「ありがとうございマウス」って言ったら場が和むのじゃないかなって思ってます。
Q(唯ちゃん) :
えー、このサークルの皆さんも普段から語尾にマウスをつけていらっしゃるんですか~?うれしー、私と仲間ですね。
A(エース田中) :
私たちも言いますし、先生もたくさん言いますよね。
メールやチャットのやり取りだともはや「~しマウス」と書かないで、ねずみの絵文字だけの時もあります。ねずみを2つ繰り返すときもあります。
Q(唯ちゃん) :
えー、先生まで。ねずみの絵文字を2つ繰り返すのですか?
A(ジョルジュ斎藤教授) :
ねずみの絵文字は「マウス」と「ね」の2種類読み方があるんです。なので「そうでございますね。」と言いたい時は「そうでござい」に「マウス」と「ね」の絵文字が2つ並びます。
Q(ピロタカ) :
ねずみの絵文字で2種類の読み方を表現するのは面白いですね。
▲想像するととてもほっこりする。ねずみの絵文字を2つ繰り返すこのテクニック今後「チュー目」だ。
A(エース田中) :
先生がダジャレを率先して使ってくれると、雰囲気が良くなるというか…。例えば学生に指示する時も、先生が「よろしくお願いしマウス」って言ってくれると、何か頑張ろうって気持ちになれます!
Q(ピロタカ) :
その話に共感できマウス!指示する時の命令口調が柔らかくなるのは凄く分かりマウスね!
A(ジョルジュ斎藤教授) :
やっぱり教官が共感を意識することも大事かもしれないですね。
ヤーヤーヤーでダジャレの発声練習
Q(ピロタカ) :
サークルの活動の中でダジャレを効果的に表現する発声練習をしていると聞きました。一体どんなトレーニングなのかが凄く気になります。
A(ウルトラナナ) :
それではここからは私から説明させていただきます。
ダジャレを使った発声練習には音声波形ソフトを使用します。練習には簡単なものと難しいものの2種類がありまして。
まずは簡単なCHAGE and ASKA(チャゲ&飛鳥)さんの「YAH YAH YAH(ヤーヤーヤー)」を使った発声練習です。こんな風に皆さんが知っている身近な歌の音声を逆回しにする練習をしています。
例えば、ヤーヤーという音を逆回しにするとどうなると思いますか?
Q(ピロタカ) :
………わからないです。
A(ウルトラナナ) :
正解は「アイアイ」なんです。
Q(唯ちゃん) :
アイアイ?
A(ジョルジュ斎藤教授) :
この音声波形を見てもらったほうが分かりやすいですかね?
▲ナナさんが「ヤーヤー」と言った際の音声波形データ。先生は日本語音声学の研究をしており、そこで音声波形ソフトを使うとのこと。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
この音声データをですね、左右を入れ替えてみました。2つのデータがミラーの関係になっているのがお分かりでしょうか?
▲「ヤーヤー」の音声(下)とそれを左右逆とした音声データ(上)。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
ではこれ音声を再生してみますね。まずは「ヤーヤー」の方を再生します。
--- 音声波形ソフト「ヤーヤー♪」 ---
A(ジョルジュ斎藤教授) :
じゃあ次に左右入れ替えたものを再生します。
--- 音声波形ソフト「アイアイ♪」 ---
Q(ピロタカ) :
アイアイだ!
Q(唯ちゃん) :
え――、凄い発見!
A(ウルトラナナ) :
そうなんです。チャゲアスの名曲がお猿さんだよーの童謡「アイアイ」に変わってしまうという。
Q(ピロタカ) :
面白いですね。
A(ウルトラナナ) :
それでは次に、小林一茶の俳句を使った発声練習を披露させていただきます。
ではまずは通常の小林一茶の俳句を詠みます。
「痩せ蛙 まけるな一茶 ここにあり」
これに対して痩せガエルはこう返しました。
「痩せ蛙 負けない意志さ ここにあり」
これは促音と母音無声化が練習できるダジャレとなっています。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
こちらイラストを基に解説しますと、この小さく描かれている一茶が瘦せ蛙を応援しています。
▲イラストはあやちゃん作。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
この後、痩せ蛙は意地を見せて勝利するという。
▲痩せ蛙が大きな蛙をひっくり返る(す)大勝利!
A(エース田中) :
これは先生の創作なのですが、瘦せ蛙との俳句対決で小林一茶の俳句に対し、瘦せ蛙が負けない意志を持ってるぞと返したものです。
Q(唯ちゃん) :
イラストがわかりやすい。
Q(ピロタカ) :
一茶と意志さがかかってますね。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
はい、これは小さい「つ」の促音と母音の無声化ですね。喉の声門が一度閉じるか、閉じないかの違いです。
アナウンサー希望の方は母音の無声化も練習するべき課題の一つになります。
▲だじゃれが発声練習に使えるなんて考えたことなかった…。まだまだ奥が深い
Q(唯ちゃん) :
こういったところにだじゃれが使われているなんて感動しました。似てる発音での発声練習はやったことないので面白いです。
Q(ピロタカ) :
唯ちゃんは、どんな発声練習をしてるんですか?
Q(唯ちゃん) :
ミュージカルだとそもそも今みたいに似てる言葉が違うふうに聞こえるから、ここはハッキリ言ってとか、韻を強調することには気を使っています。ただ、音声波形ソフトを使って発声練習とかをやったことはないし、ダジャレって聞き間違いから生まれることもあるから、そこにフォーカスを当てて発声練習してるっていうのは、新しいやり方で蛙だけに考えるきっかけになりました。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
こうやってだじゃれを振り返るのは良いですね。
Q(ピロタカ) :
この音声波形ソフトの技術も凄いですね。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
ちなみにこれは一度に60名程が使用できる声紋分析のソフトなんです。性能はFBIとかで個人特定に使うレベルの高性能のものになります。
なので私の授業で声を吹き込んだ人は絶対に脅迫電話はできないですよ。(笑)
Q(ピロタカ) :
実際に授業でも音声波形ソフトを使ったりしてるんですか?
A(ジョルジュ斎藤教授) :
他の大学になるのですが、これも授業の教材として使ってますね。学生の方に発音してもらい楽しんで学んでもらって。
Q(ピロタカ) :
確かに勉強が楽しみながらできますね。
A(ジョルジュ斎藤教授) :
学生も楽しんでくれていますが、教材を作ってる私が一番楽しんでいるかもしれません。
SNSはこれからの世代にだじゃれを知ってもらうための最強ツール
Q(ピロタカ) :
他に何か活動で力を入れていることはありますか?
A(エース田中) :
SNSの発信です。特にInstagramやTiktokなど…。ダジャレの寒い・オヤジくさい・つまらないといったイメージを払拭するために、動画では明るい色や文字を使い、若い世代にヒットするよう心掛けています。
Q(ピロタカ) :
伝えるために様々な努力をされているのですね。InstagramとTiktokではどちらの方が見られますか?
A(エース田中) :
断然、Instagramですね。
ただコンスタントに再生されるのはTiktokです。
▲Tiktok。最初の2秒で大事と知れたので皆さんTiktokの運用は大丈夫ですよ。
Q(ピロタカ) :
両者で違いがあるのですね。
こういう動画を上げると再生回数が多くなるみたいな法則ってあるんですか?
A(エース田中) :
それぞれで少し異なるのですが、例えばTiktokは最初の2秒が大事と言われていて、流行りの音源を使ったり、短すぎないようにしたりと意識をしています。
あとは話と話の間の部分を編集でカットし、見やすいようには意識しています。
Q(ピロタカ) :
今後、どのような動画アップする予定はありますか?
A(エース田中) :
韓国で流行りの歌の歌詞をみんなで考えるというのをやっていて、韓国語を日本語訳にするんですけど、日本語訳するときになるべくその韓国語の発音を残してダジャレっぽくなるようにしています。
Q(唯ちゃん) :
それ凄く面白いですね!
A(ジョルジュ斎藤教授) :
もうほとんど一曲完成してるよね。
A(エース田中) :
ほぼほぼ完成してます。はなさんが踊りが上手なので、この歌に合わせて踊ってもらう予定です。振り付けが難しいのですが、はなさんならできるということで。
完成したら発信する予定なので楽しみにしてください!
Q(ピロタカ) :
最後にサークルの今後の展望や目標はありますか?
A(SHOWTIMEゆうか) :
今後の展望は、より多くの人にだじゃれを楽しんでもらうことです。今までSNSの投稿をポップで楽しい感じをイメージして投稿してました。
これからはもっと若い人達にも興味を持ってもらいたいのでミステリアスでエモい感じをイメージして、そこにダジャレを組み込んで新しいダジャレの面白さ・魅力を発信していきたいなって思っています。
Q(ピロタカ) :
更にこのサークルがパワーアップしていきそうですね。「さぁ来るぞ」って感じですね。これからの活躍ますます期待していマウス。本日はありがとうございました。
<あとがき>
インタビューで感じたのは「ダジャレ・ヌーボー」メンバーのだじゃれ愛の強さ。だじゃれを好きになってもらうため楽しみながら新しい試みをどんどん行っていました。
同世代に対して「どうせだいたいの人はだじゃれに興味がないのでは?」と消極的になるのではなく果敢に挑戦していく姿勢にこちらも身が引き締まる思いです!
また、インタビュー後に新入部員が1名入ったとのこと!部員が増えてますますパワーアップする予感の「ダジャレ・ヌーボー」をどうぞよろしくお願イタチマウス!
▲コロナ禍の影響によりインタビューはオンラインで実施しました。
インタビュー by 中島ピロタカ&かとう唯ちゃん
レポート by 電気とデニム
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