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注目のだじゃらー

注目のだじゃらー Vol.17 今野 英樹さん

今野 英樹さん

  • お名前:今野 英樹(こんの ひでき)
  • 出身地:宮城県石巻市
  • 生年月日:1972年7月5日
  • 職業:今野梱包株式会社 代表取締役社長
  • 私にとってのだじゃれ:人生の潤滑剤

今月のゲストは、ダンボール製のランボルギーニ、その名もズバリの“ダンボルギーニ”を製作された、今野梱包の今野社長。11月に表参道で開催された『復興バー』で、偶然にも私が小学校のPTAでお世話になっている山本美賢さん(元PTA会長)と今野社長がマスターを務められるということで、突撃インタビューをして来マスター!

Q :

まず今野梱包について伺えますか?

A :

祖父が創業した梱包屋で、木材を加工して木製のパレットや強化剤を作ってきました。私自身は仙台のディーラーに就職したんですけど、長男だったこともあって、祖父が他界するのを機に使命感で戻ってきました。正直、最初は夢や希望を語れるほどの将来性もなかったんですが、誇りは感じており、そしてトライウォールに出会って運命が変わりました。

Q :

トライウォールとは?

A :

強化ダンボールです。元々は軍事用に作られたもので、戦線に物資を供給する際にパラシュートで落下させても壊れないような代物です。梱包屋といいながら木製のパレットを作るのがメインであまり梱包の仕事をしていなかったですし、北海道や東北でトライウォールを扱っているところもなかったのでやってみようと。

Q :

トライウォールでチャンス到来と思ったわけですね?(笑)

A :

そうでうね(笑)トライウォールは強化資材としてだけじゃなくて、木材と置き換えることも可能で家具やテーブルとしても使えるんです。ダンボールとはいえ、人が乗ってもつぶれません。他にも利用法があるだろうと考えて、東日本大震災が起きる前から災害対策品としていざという時に活用されれば、というものを作って来ました。タイミングは分からないけど、ちゃんとしたコンセプトで情熱を持ってやり続ければ、いつか必ずうまくいくという想いはありましたね。

今野 英樹さん

今野 英樹さん

↑トライウォール製のロッカーと学習机。木製と変わらない強度です!


Q :

“ダンボルギーニ”はどのような経緯でできたんですか?

A :

できたのは約5年前ですね。誕生には3つの背景があります。
一つは自分の子どもと共有した夢や憧れですね。「ランボルギーニ欲しいよね」って話していたんですけど、そこに向けて具体的なアプローチが何もできていなかったんです。二つ目はどこの地域にもいるある諸先輩方に対しての反骨心です。みんな地域振興や地域貢献とか口では言うんですけど、・・・。だったら自分の会社単独でも何か面白いことをやってやろうと思ったんです。三つ目は地元の若い人たちへのPRですね。震災以降、仕事がなくなるにつれて若い人達がどんどん流出してしまって・・・そんな若い人たちにこんな田舎でも世界に通じる面白いことをやっている会社があったり、バイタリティのあるエネルギッシュな大人たちもいる、そしてこの地域でも夢を描けるのだということを知って欲しかったんです。
そういった3つの想いがリンクしてできたのが“ダンボルギーニ”です。

Q :

“ダンボルギーニ”のコンセプトはどこから出てきたのですか?

A :

社内でスタッフミーティングをやった時に社長のオレが「次、ダンボルギーニ作る」って言ったんです(笑)

Q :

ただの思いつきですか?

A :

そう、思いつきで。「ダンボールでランボルギーニつくったら、“ダンボルギーニ”じゃん!ぜってぇー流行っから」って。インスピレーションですね(笑)

Q :

“ランボルギーニ”と“ダンボール”、どちらが先にありきだったんですか?

A :

どっちってことはないですね。同レベルです。ホント、まんま思い付きを言葉にしただけです。でも、インスピレーションや思い付きには根拠があると思っています。何かしらの根拠があって、それが折り重なって、そして噛み合って降りてくるっていう。何かがあってそういう言葉が出てくるんじゃないかなって。
常に自分の中でリンクしながらぼやけて渦巻いていたものが鮮明になって・・・。“ダンボルギーニ”はそれがピタッとハマった感じです。

今野 英樹さん

↑これが“ダンボルギーニ”。ダンボールと言われないと分からない美しいフォルム!


今野 英樹さん

↑駐車場に停めるとこんな感じ。走行機能はないので、手で運んだそうです(笑)


Q :

社員の皆さんの反応はいかがでしたか?

A :

目がテンですよ(笑)

Q :

メガトン級の発想に目が点だった訳ですね(笑)社長にはヒットの確信があったんですか?

A :

昔から「根拠はないけど自信はある」とずっと言ってて、親父とそれで喧嘩したこともありました。成功する根拠があってやるなら誰でも成功する。でも根拠って最初は誰も持っていないんですよ。頭のいい方の場合、まず計画ありきですよね。足し算・掛け算・割り算・引き算、全部やってある程度いけそうだと思ってからやる。それが世の中で事業をしていく時の当然のやり方だと思うんですけど、オレはそういった計算高いものはできなくて、むしろ、面白いと思ったもの、直感的にこれだと思ったものはやらずにはいられない。その方が絶対スピード感もある。「こういう訳でこうだから、だからやろう」じゃなくて、「よし!取りに行こう!やるべ!」って始めた方がゴールに近いですね。そして突っ走りながら考える。

Q :

実際の製作期間は、どのくらいだったんですか?

A :

3年ですね。普通にちゃんと仕事しながら、空き時間でちょこちょこと作ってましたから(笑)途中で投げ出したくなったことも、何度もありましたよ。

Q :

3年かけて完成した “ダンボルギーニ”は何をもたらしましたか?

A :

イノベーションですね。地域のイノベーション。
女川町長が同級生なんですが、彼から「(町おこしで)商店街やるから何かやってよ?」と言われていたんですよ。小売りの商売をやっている訳でもないし、最初は「ムリ」と言ってたんですが、最終的に彼に“女川町のキラーコンテンツ”とまで言わしめたんです。
行き過ぎた言葉かも知れませんけど、“ダンボルギーニ”があることがたくさんの人が女川を訪れる目的になった訳です。それ自体がイノベーションかなと。

今野 英樹さん 今野 英樹さん 今野 英樹さん

↑『復興バー』開店前&中にもかかわらず、笑顔でインタビューにお答えいただきました!


今野 英樹さん

↑紹介者である山本美賢さん(左)と今野社長(右)。お二人並ぶとスゴいインパクト(笑)


Q :

実際に観光客は増えたんですか?

A :

いまだに女川町への問い合わせの8割が、“ダンボルギーニ”についてだそうです(笑)

Q :

“ダンボルギーニ”はどうやって全国に広まったんですか?

A :

Twitterですね。『ダンボルギーニ、完成しております』ってツイートして、その夜とあるところで飲んでたら携帯が「ブブッ、ブブッ・・・」って鳴り止まなくて。あまりにうるさくてホテルに戻ってからも携帯をバスタオルにくるんで置いといたんです。で、翌日起きたらとんでもないことになってました(笑)その時だけで30万人くらいの人が見てくれましたかね。

Q :

ダンボルギーニを作った意味はどこにあったとお考えですか?

A :

地域の子ども達に夢と希望をもたらしたのではないかなと。「自分たちにも何かできるんじゃないか!」と思ってもらえたんじゃないかと思います。

Q :

なぜそこまで希望をもたらしたんでしょう?

A :

ダンボールが身近なモノだからですかね。本来であれば、ダンボールは用が済めば邪魔な存在。でも、形と発想を変えれば、別の価値観を生み出すという点が重要じゃないかなと。
あとはネーミングも大きかったですね。“ダンボルギーニ”は破壊力抜群でした(笑)ありそうで絶対にない、しっくりと腹落ちするネーミングが良かったと思います。特別なひねりはなくて、誰が聞いてもすとーんと入って、何それ!?って笑ってもらえる感じですよね。

Q :

ネーミングのインパクトは大きいですね。

A :

はい、キャッチフレーズには色々とこだわっています。このキーホルダーも『夢の扉を開ける鍵』と名付けました。こっちは『エンジンに火を入れる鍵』です(笑)

今野 英樹さん

↑“ダンボルギーニ”ブランドの特製キーホルダー『エンジンに火を入れる鍵』


Q :

今野さんは、だじゃれはお好きなんですか?

A :

当たり前田のクラッカー」です(笑)
まぁ、だじゃれに限らずですが、日常的にふざけたり、奇抜な表現を使って人を笑わせようとしていますね。大阪商人じゃないけど、喜んでもらってナンボって感覚はありますね。昔からサービス精神が旺盛で、その辺りの性格は子どもの頃から全然、変わらないですね。もう44歳になりますが。今年のテーマは「44マグナム(突破力・貫通力・破壊力)」です(笑)

Q :

今後実現したいことはありますか?

A :

まずは“ダンボルギーニ”をきちんとしたブランドにしていきたいです。最初は「バカなことやってるな」って思われていることが、モノスゴイことにつながるっていうモデルを作ったら大きな共感を生み出すのではないかと。特に地方の場合は大きな起爆剤になると思います。



<あとがき>

“ダンボルギーニ”の存在を初めて知った時はとても衝撃的でした。今回お話を伺って、そのネーミングが計算されたものではなく、インスピレーションから生まれたというお話に妙に納得がいきました。
『面白いと思ったもの、直感的にこれだと思ったものの方がゴールに近い』
『バカなことと思われていることがモノスゴイことにつながったら大きな共感を生み出す』
今回のインタビューは、“だじゃれの効果”そのものよりも、今野社長のお言葉一つ一つに大きな勇気をいただいた気がします。
インタビュー終了後、今野社長と女川町でのだじゃれイベントの開催を約束しました。
【世界最強のだじゃれが女川にある!】
“DAJARE”の文字を世界に広めるのは私が実現したい夢の一つ。私にとって女川遠征、そして“ダンボルギーニ”はまさにその『夢の扉を開ける鍵』となりそうです!!


今野 英樹さん

インタビュー&レポート by 鈴木ひでちか

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