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注目のだじゃらー

注目のだじゃらー Vol.23
オフトゥンフライングシステム 開発チームのみなさま

オフトゥン開発チーム

開発メンバーご紹介(左から)

  • お名前:酒井 裕企(さかい ゆうき)
  • 担当領域:だじゃれ判別AIの開発
  • 趣味:散歩、物理
  • 私にとってのだじゃれ:合言葉的な
  • お名前:馬場 はるか(ばば はるか)
  • 担当領域:裁縫力を活かして布団制作
  • 趣味:読書とコーヒーと散歩
  • 私にとってのだじゃれ:遺伝
  • お名前:藤田 洸介(ふじた こうすけ)
  • 担当領域:布団を吹っ飛ばすエンジンとハードウェアの設計
  • 趣味:ヨット、お笑い、WEBアプリ作り
  • 私にとってのだじゃれ:心をひらいてくれるもの
  • お名前:中西 有希(なかにし ゆうき)
  • 担当領域:ダジャレ評価AIの開発
  • 趣味:ワイン
  • 私にとってのだじゃれ:信仰

昨年末、AI関連サービスを提供するブレインパッド社の有志チームが、だじゃれの面白さをAIが判定し布団が吹っ飛ぶ装置「オフトゥンフライングシステム」を開発したという衝撃(笑劇)記事を拝見し、開発メンバーの皆様にふっとんで突撃インタビューをいたしました!

Q(ピロタカ) :

まず始めに、貴社のビジネス内容について、簡単に教えていただけますか?

A(藤田) :

はい。当社は、各企業が保有する様々なデータの分析と活用支援を行っている会社です。
データマイニング、つまり、人間の目や手では到底処理し切れないほどの膨大なデータをコンピュータの力を使って分析し、企業のビジネス創造と経営改善の支援をすることをビジネスの軸として事業を展開しています。
我々4人は、大量データを分析する専門家(データサイエンティスト)が集まっている部署に所属しているメンバーです。

Q(ピロタカ) :

「オフトゥンフライングシステム」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

A(中西) :

元々は、馬場さんがビジネスチャットの「Slack」で『だじゃれ部屋』というのを作っていて、そこで僕と馬場さんがだじゃれで盛り上がっていたことがきっかけです。

A(藤田) :

そこに私もお笑いが好きで参加しているうちに、だじゃれの魅力に魅了されてきて、「だじゃれ」×「AI」で、何か作りたいなと思って『だじゃれ部屋』にいた人を誘いました。

Q(ピロタカ) :

メンバーの中に女性がいることは珍しいと話していたのですが、馬場さんがきっかけなんですね!

A(中西) :

実は彼女が「Slack」のスラッガー(野球の4番打者)なんですよ!

Q(ひでちか) :

皆さんの年代だと、そもそも「だじゃれ」を言わないとか、周りに言っている人もいないと思うのですが、馬場さんは、なぜ、「だじゃれ」を嗜んでいらしたのですか?

A(馬場) :

何で?と言われると分からないのですが、思いつくと誰かに言いたくなって…。

Q(ひでちか) :

それははるかさんだけにはるか昔から?(笑)

A(馬場) :

そうですね。私にとってのだじゃれは「遺伝」なんです。小さい頃、寝かしつけの際に祖父がお話をしてくれたのですが、その中身がひどかったんです(笑)「おじいちゃん、お話して」って言うと、「昔々おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんもおばあさんも歳をとって歯が全部抜けてしまいました。おはなし。」って言うんです(笑)それを幼稚園生に向かって何度も話しているのを聞いて育ったので「血筋」なんだと思います。


開発メンバーの皆さま↑「オフトゥンフライングシステム」開発メンバーの皆さま


Q(ピロタカ) :

今回の「オフトゥンフライングシステム」開発の4人の役割分担についてお伺いしたいのですが?

A(藤田) :

作業分担としては、みんなの得意分野を活かしました。
僕は設計というか「だじゃれ」で布団を「ふっとばしたい」だけでしたね(笑)
馬場さんは裁縫力を生かして布団を制作してくれて、酒井さんがダジャレ判別AIを開発。
中西さんがダジャレ評価AIの開発をそれぞれメインで担当し、実装のアイデアは全員で意見を出し合いながら作りました。

Q(ピロタカ) :

だじゃれの法則を導き出すのは苦労されたと思うのですが、どのようにしてパターン(アルゴリズム)を調べたのでしょうか?

A(中西) :

だじゃれって「飴」と「雨」など、同じ音の並びに二通りの意味を持っていたりするので音韻の反復を学習することができるのではないかと考えました。ただ文節で切ってみても内容が分からなくなってしまいますし、一つ一つの音をコンピュータに学習させても上手くいかなかったので、そこがすごく難しかったですね。人間だからこそ理解できることが、AIにとって難しかったりします。

Q(ピロタカ) :

確かにそうですね。同じ言葉でもタイミングだったり、面白いって感じたりが、前後の文脈で変わってきたりするので、面白いかって判別するのが難しいと思います。その辺りはどのように乗り越えていったのでしょうか?

A(中西) :

隈なく面白い理由っていうのを探していった結果をコンピュータで機械学習させていきました。かかっている文字を数学に落として、ベクトル化というのですが、大きさ、向きを指定して表現し、文字と文字の距離であったり、文字のポジティブさやネガティブさでも違うんじゃないかとか、色々な仮説を立てました。そして、かなりの変数を作っていって、評価に当てはめていったという感じです。かかっている文字の多さとか、何回かかっているかとか。そういうところが大きいですね。

A(馬場) :

だじゃれの一文に占める、かかっている文字の割合ですね。例えば「ふとんがふっとんだ」とかですと、かかっている割合が100%に近いので、このAIはそういうのを面白いと判定するようになっています。

A(中西) :

その場の雰囲気とかは取り入れられなかったので、次は音声でやってみたいです。音声をとって、その場のテンションとか、声の大きさとかが関係あるんじゃないかと思っています。

Q(ひでちか) :

社内外での反響はどうでしたか?

A(中西) :

社員同士の交流や情報交換など社内コミュニケーションがさらに活性化されてきたと感じています。

A(馬場) :

社内で「好きなこと勝手に書いてね」というホワイトボードができたのですが、私が「今週のだじゃれ」コーナーをホワイトボードに書いたら、みんなだじゃれとイニシャルを残してくれるようになったり(笑)

ホワイトボード↑「今週のだじゃれ」コーナー

A(藤田) :

社外でも今まで話したことなかった人から「記事読んだよ」と話しかけてもらったり、これをきっかけにいろんな人と話すようになりました。酒井さんは社外向けに開発秘話を発表する機会ができたりと、ビジネスにおいても良い影響が出てきています。先日、「ホリエモン万博」というイベントがあったのですが、大喜利大会の審査として、「オフトゥンフライングシステム」に協力のオファーもありました。

Q(ピロタカ) :

すごいですね!

A(藤田) :

大喜利の人達がそれぞれ「だじゃれ」を言ったら、こちらで構えてカチャカチャって入力して。前の大スクリーンで点数が出て布団がふっ飛ぶだろうか、みたいなことをやるのですが・・・。
実際に「オフトゥンフライングシステム」ご覧になります?

Q(ひでちか・ピロタカ) :

是非!!

システム写真↑遂に登場!オフトゥンフライングシステム!!

Q(ひでちか) :

「オフトゥン!」

Q(ピロタカ) :

写真で見るのとイメージが違いますね。こちらの「白金鉱業」とは?

A(藤田) :

白金鉱業はブレインパッドの社員が業務外で活動するときの屋号みたいなものです。従来の布団の250倍飛ぶように工夫しています(笑)。では、実際にやってみましょう!では、何かだじゃれを言ってください。それを僕が入力します。

Q(ひでちか) :

僕、言ってもいいですか?言葉を繰り返さないと判別しないんですよね?

A(藤田) :

まだ「台所キッチンとかたづける」みたいに日本語を英語にしたり「ウナギタレこみ」みたいな高度な判別はできないです。

Q(ひでちか) :

じゃあ、小学生が好きなシンプルなだじゃれを。
惑星が屁をこいた。わーくせい」で(笑)

A(中西) :

これは吹っ飛びそうですね。じゃあ、行きますね。さん、にー、いち・・・・・・
あれ?

Q(ひでちか) :

えっ?面白くない?

Q(ピロタカ) :

すかしちゃいましたね~(爆笑)

A(藤田) :

そうだ。いまホリエモン万博向けに厳しめの設定になっていまして…

Q(ひでちか) :

何点あれば飛ぶんですか?

A(藤田) :

80点です。3文字だと飛ばないかもしれないです。かかっている文字は長い方がいいです。

Q(ひでちか) :

そっかあ、むずかしいなぁ~。ちょっとムキになってきました(笑)

Q(ピロタカ) :

高得点を出したいですね~。

Q(ひでちか) :

それじゃあ、これでどうでしょう。「傷んだ廊下いたんだろうか」!

傷んだ廊下↑97点!「傷んだ廊下にいたんだろうか」

A(藤田) :

97点!

A(全員) :

すっごーーーい!

Q(ひでちか) :

文字数のかかりが長いし、無駄がないってことですよね。でも、人が面白いと思うだじゃれとAIの判定って違うのかなと思ったのですが、その辺りはどのように考えていますか?

A(藤田) :

そうですね。おっしゃる通りで、元々人間側でも面白いだじゃれと面白くないだじゃれって、よく分からないじゃないですか。そのよく分からない状態のまま「だじゃれステーション」でみんながつけた点数を元に基準を作っているので、結局AIもよく分かってない状態です。この点は相当難しいと思っています。あとはみんな好きなだじゃれは違うと思うので、AIは言ってしまえば平均でしかありませんし、違和感は絶対生じてしまいますね。逆にそんなわけないだろって突っ込んでもらって遊んでもらうのが良いかもしれません。それ、そんなに点数高い?って(笑)。

Q(ひでちか) :

だじゃれワークショップで飛び出した傑作をメモしているのですが、「毛」とか「シトラスの香りがするトラ」とか「いも体毛」とか、「コンベアーで運ばれる」とか、想像力を駆り立てられる、そんなのあるわけないじゃんって言うのが面白いなぁって思うことが多いです。

A(藤田) :

だじゃれに限らず、お笑いってそうだと思うんですが、人間は常識を知っていて、常識からずれたところが面白い。AIはまだ常識を理解できていないという部分が、笑いをAI化するにあたってすごく大きなハードルだと思っています。

Q(ひでちか) :

布団が吹っ飛ぶって、面白いですよね。普通、布団は飛ばないですから。「布団が吹っ飛んだ」って日本で一番有名なだじゃれだけど、布団が吹っ飛んだのは誰も見たことがないはずで、「オフトゥン」はそれを覆すツールですよね。

A(藤田) :

みんな「初めて見た」って言いますね。

Q(ピロタカ) :

今後の展望について教えていただけますか?

A(藤田) :

多くの方からスマホのアプリなどで「だじゃれ判定が出来ないか」と言われているので、精度を上げて提供できるようにしていきたいです。

A(中西) :

人間の感覚に近づけたいですね。
最終的には布団吹っ飛ばしたら、だじゃれを生成するっていう逆バージョンを作りたいっていうのもありますね。

A(馬場) :

AIがだじゃれを作ってくれる。

A(酒井) :

吹っ飛ばした距離に応じて。

Q(ピロタカ) :

最後に、みなさんにとっての「だじゃれ」とは?

A(藤田) :

「心」を開いてくれるものです。

A(馬場) :

「遺伝」です(笑)

A(酒井) :

「合言葉的」ですね(笑)「山」「川」のように分かる人だけが分かるような。

A(中西) :

「信仰」です。信仰は崇め奉るもの。みたいな感じです。

Q(ひでちか) :

新香ではなくですね…。

A(全員) :

爆笑


<あとがき>

AI(人工知能)というと「これまで人間が行なっていた仕事を奪う」というネガティブな印象を抱いてしまう方も少なくないと思いますが、ブレインパッドの若手チームの皆様の開発した「AI」にはえぇ愛があり、「社員」がシャイーンと輝いておりました。ブレインパッド(BrainPad)の社名は「Brain」(頭脳)と「Pad」(発射台)。まさに「オフトゥンフライングシステム」ではないでしょうか。
オフトンはどこまで飛んでいくでしょうか。今後の活躍に注目です!


インタビュー後


インタビュー&レポート by 中島ピロタカ&鈴木ひでちか



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